文字について1

  • 文字の表記

・一つの文字で一つの音(単音)

・一つの文字で一つの単語(意味のかたまり)

・一つの文字で一つの音節(シラブル)

を表す手法がある。

 

 表音文字

一般的には、文字に基本音(音素)を対応させるアルファベットが、多く用いられている。理想的には一つの文字に一つの音素を当てはめるが、アルファベットは20文字から30文字程度で成り立つ一方、多くの言語においてその音素はアルファベットの文字数より多いため、表現できない音素については複数のアルファベットを組み合わせて表現する。例えば、英語のアルファベットは26文字だが、音素は40個ほどあり、このため、θはthと表記する。

 

 表意文字

一つの文字が一つの意味のかたまりを表す文字をいう。中国語や日本語で使われる「漢字」があり、アルファベットが世界中に広がる以前はエジプトの象形文字、マヤの絵文字、シュメールの楔形文字などが広く使用されていた。

 

 音節表記

一つの文字が一つの音節を表す方法で、この方法では子音と母音の組み合わせに一つの文字を割り当てる。例えばfamilyのfa-mi-lyの3つの音節にそれぞれ一つの文字を与える。古代ミケーネの線文字Bや、カナ文字など。

 

 現実的にはいずれか一つの文字体系、表記方法を使うということはなく、組み合わせて使用されることが多い。例えば日本語では表意文字(漢字)と音節表記(カナ文字)を組み合わせているし、英語でもアルファベット以外に”$”や”&”などの文字が一つの意味を持つ文字として使用されている。音節表記法を採用していたギリシア線文字Bでも表意文字が含まれていたし、エジプトにおいても象形文字いがいに子音を表す表音文字が使用されていた。

 

「銃・病原菌・鉄」第12章から